―――自己紹介をお願いします。
萌の淺川です。現在はCGディレクター/VFXディレクターという役職で仕事をしています。経歴としては専門学校でデザインを学んだのち、卒業後は広告制作会社に就職しました。最初の会社ではCM制作やPRビデオ制作など、クライアントへのヒアリングから最終納品まで一貫して携わる仕事が中心でした。そこから徐々にCGの映像制作の仕事にシフトしていき、モデリングからコンポジットまで幅広い工程を経験させていただきました。この経験を踏まえ、現在は萌でCG制作全般のディレクションを担当しています。
―――制作現場におけるCGディレクターはどういった役割を担っているのでしょうか。
CGディレクターとしては、制作現場全体を見渡しながら、最終的な映像表現にこだわって仕事をしています。単に技術的な側面だけでなく、視聴者に届けるコンテンツとしてどうあるべきかを常に意識しています。前職でのコンポジットの経験を活かし、最終工程を見据えたディレクションを行うことで、お客様に本当に届けたい絵作りを心がけています。各工程の細部にも目を配りつつ、全体のクオリティを高めることがCGディレクターの重要な役割だと考えています。
―――萌さんにおけるCGアニメーション制作の全体的な流れについても教えてください。
アニメCG制作の工程は、大まかにモデリング、レイアウト、アニメーション、エフェクト、ライティング、コンポジットの順番で進みます。モデリングでキャラクターや背景の3Dモデルを作成し、レイアウトで3Dモデル、カメラを配置し、画面の設計を行います。その後、アニメーションでキャラクターに動きをつけ、エフェクトで特殊効果を加えます。ライティングで光の当て方を調整し、最終的にコンポジットの工程で全ての要素を合成して、視聴者の皆さんがご覧になるような画面が仕上がります。
―――CG制作工程の中で、時間やリソースが一番かかる部分はどこでしょうか。
作品によって力を入れている部分は異なります。例えば、キャラクターの動きが重要な要素になる作品の場合は、アニメーションに時間をかけることがあります。一方で、モデリングは視聴者へのインパクトも大きく、"萌"らしい表現を色濃く反映できる工程として位置づけています。作品のコンセプトや目的に応じて、リソース配分を決めています。
―――ありがとうございます。続いて萌さんの会社としての雰囲気や、組織・スタッフの特徴などについてはどんな印象ですか。
まず年齢層がそこまでバラついていないことが特徴だと思います。制作現場では、「この作品見たよ」とか「ここのシーンかっこいいよね」といった話が日常的に交わされており、感覚の近いメンバーが多いです。そうすると作品を作っていく際にも共感を持って仕事ができるケースが多い、というのが一番大きなポイントと感じています。また弊社ではモデリングからコンポジットまでの工程を社内で行っているので、コミュニケーションの密度が高いのも特徴かなと。難しい課題にぶつかった時も、色々な解決方法の引き出しを持っている人が身近にいるのですぐ助けてもらえるなど、コミュニケーションの取りやすさが仕事のしやすさに繋がっている良い環境だと思います。
―――年齢層が近いことで、スタッフ間のコミュニケーションに良い影響はありますか。
大いにあると思います。同世代のスタッフ間だとそれぞれが見てきた作品の例えなども共有しやすく、コミュニケーションが取りやすい環境になっていると感じます。お互いに「これはいいな」と感じるポイントがある程度揃っているので、大きなずれもなくスムーズに意志疎通ができていると思います。
―――何か日々のコミュニケーションにおいて心がけていることなどがあれば教えてください。
業界の内外問わずアニメを楽しんでいる人と接する機会も多いので、作り手としての視点と、純粋に作品を楽しむ視点の両方の意見を大事にしています。色々な人と積極的に「この表現ってどう思う?」「この作品のここが好き」といった話をすることで、意見を取り入れる機会を意識的に設けるようにしています。
*後編へ続く