―――トリガーからスタジオコロリドに移籍されたのは何かきっかけがあったのでしょうか。
もともとスタジオコロリド作品も好きだったことに加え、スタジオコロリドにアニメーターの知り合いがいて、色々話を聞いて興味を持ったのがきっかけです。当時は完全出来高制の会社が多い中で、スタジオコロリドは固定給プラス出来高制という雇用形態であり、働く環境については業界の中でも先進的だったことに魅力を感じて応募しました。その後は面接を経て無事に移籍が決まったという流れです。初めは東京のスタジオで働いていましたが、コロナ禍をきっかけに京都に拠点を移して現在に至ります。
―――移籍後の実感としても、スタジオコロリドは働きやすい環境でしょうか。
待遇面もさることながら、それ以上に会社の社風など様々な点に満足しており、働きやすい環境だと感じています。例えば制作もクリエイターも信頼できる人がたくさん所属しているので、安心して仕事ができる、という側面があります。制作の皆さんは心配りが丁寧で業務も迅速なので、こちらもそれに応えられるように意識しながら日々仕事をしています。クリエイターの皆さん、特にアニメーターの方々の上がりは本当にありがたいです。作画監督を担当しているということもあって、社内外問わず様々な方のカットの上がりを拝見するのですが、今のアニメ業界では画力も素材のクオリティも玉石混交というのが現状です。その中でスタジオコロリド所属の皆さんは基本に忠実でありながら、期待値以上のものをしっかり上げてくださるので、感謝の気持ちでいっぱいですね。
―――作画監督としての車谷さんから見て、クオリティにばらつきが生じる背景についてはどのように感じていますか。
業界全体が人材不足の状態であることから、十分な教育を受けていない人が増えているというのが一つの要因と感じています。アニメーターという職業には資格や免許がないため、例えば人手が欲しい時にSNSで絵が上手い人を見つけてきてアニメ制作に参加させる、といったケースも増えているように思います。アニメーターを目指すにあたっては、まず動画経験を積むことで商業アニメの作り方や工程に関する知識、ルールなどを体得することが必要不可欠です。そうした基礎を学んでいない方に仕事を振ると、アニメーションとして成り立たないレベルの素材が上がってくるといったことになるケースもあります。ネットやSNSの普及で商業アニメ制作への参加のハードルが下がっていることの功罪が生じている印象です。
―――アニメ業界における働き方等の変化についてはどう感じていますか。
コロナ禍を経てリモートワークが普及したこともあって、働き方はかなり幅が広がったと感じています。私は周りに人がいる環境だと集中が途切れてしまうので、現在ほとんどリモートワークで働いています。普段の打ち合わせなどもリモートで問題なく実施できているので、働く場所のハードルはかなり下がったかなと。また、以前は特に下積み時代において生活が厳しいような待遇が当たり前の環境でしたが、今は業界全体が変わりつつあります。待遇や働き方を含めて各社が様々な改善に取り組んでいると聞きますし、スタジオコロリドでもそうした流れも踏まえながら改善を進めています。もちろん会社によってばらつきはあると思いますが、そうした動き自体は非常に良いことだと思います。私たちの世代が受けた苦労が、後輩たちに受け継がれないことを願っています。