―――自己紹介をお願いします。
スタジオコロリド京都スタジオ所属の車谷です。主に作画監督の仕事をしており、最近だと弊社の『超かぐや姫!』という劇場作品や、他社作品の『薬屋のひとりごと』、『銀魂』などで作画監督を担当させて頂きました。キャリアとしてはまずトリガーというアニメ制作会社に新卒で入社した後、スタジオコロリドに8年ほど在籍しています。
―――新卒でアニメ業界に入られたとのことですが、何かきっかけとなる作品などがあったのでしょうか。
高校生の時に見た『銀魂』がきっかけです。それまでは絵を描いた経験がなく、アニメーターという職業があることも知りませんでしたが、『銀魂』との出会いを通じて自身も作り手側になりたい、アニメ業界に入りたいと思うようになりました。
―――どのようにしてその想いを実現されたのでしょうか。
高校在学中に自分なりに情報収集を行い、卒業後は大阪にあるアニメやゲーム、イラストなどのメディアに特化した専門学校のアニメーション学科に進学しました。通常は2年制のところ、3年制のコースを選択し、3年目で集中的にスキルアップを図りました。とにかくがむしゃらに頑張り、何とか就職することができました。私は「こういう絵を描いてみたい」という思いが原動力になっているタイプで、実際にアニメーターとして働き始めてからもその時々で目標にする人の画集などをよく見て学んでいます。
―――専門学校時代に影響を受けた人はいましたか。
同級生というよりは、SNSで知り合った同世代のアニメーター志望の方々から大きな刺激を受けていました。東京や福岡など、全国の専門学校に通う同年代の方が練習で書いた作品等を投稿するアカウントを見て、自分とは比べ物にならないほど上手な人がいることに衝撃を受け、負けないように頑張ろうと励みにしていました。そうした人の作品を見て「すごいな」と感じる一方で、自分は全然描けていなかったので焦りもありました。今まで何をしていたのだろうと自問自答する日々でした。ただ自分にはできないと思わず、いつかこういう風に描けるようになりたいという目標を持って頑張り続けました。
―――新卒でアニメ制作会社を志望するにあたり、どのような準備をされたのでしょうか。
当時はトリガー作品の影響を大きく受けており、入社するならこの会社だ、と強く感じていました。中でもしっかりしたデッサンの下地がありつつ、それをアニメのタッチに上手く変換している吉成曜さんの絵に憧れていて、ひたすら模写して自分の中に取り入れる作業を行っていました。そのため、専門学校時代に作成したポートフォリオは、完全にトリガーの絵柄に寄せて作りました。私は元々絵が全く描けない状態からのスタートだったので、逆に画風に癖がなく、会社が求める絵柄に合わせやすかったのだと思います。そうして目標を突き詰めた結果からか画力自体も大きく向上し、トリガーを含め複数の制作会社の一次審査を通過しつつ、最終的にトリガーからも内定を頂くことができました。自分の基礎画力は、トリガーを目指していた時代に培われたものだと感じています。
―――キャリアをスタートされた当初の印象深いエピソードなどがあれば教えてください。
トリガーに入社し、初めて目にした社内の光景が一番印象に残っています。アニメーターの方々の机や棚におびただしい量のキャラクターのグッズやフィギュアが並んでいて、「この人たちは本当にアニメが好きで、一日中アニメのことを考えているんだ、しかもそれが誰にも怒られないんだ」と感じたことを今でも覚えています。アニメが大好きな私にとって、まさに夢のような環境でした。