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制作情報

スタッフインタビュー_間﨑さん(前編)

スタジオコロリド京都

スタジオコロリド 京都スタジオで働く皆さんへのインタビュー企画。
今回は作画/演出セクションの間﨑さんにインタビューを行いました。

―――自己紹介をお願いします。
 スタジオコロリド京都スタジオ所属の間﨑です。私は現在、作画と演出の部門で働いています。2011年からアニメーション業界で働き始め、もう14年ほどになりますね。作画に関してはほぼ現場の仕事で、作画監督のようにまとめる立場ではなく、実際に絵を描いて動かす作業を主に担当しています。キャリアは動画からスタートしており、やがて原画も描くようになり、そこから経験を積んで今に至ります。
―――作画と並行して、演出の仕事にも携わられているとのことですが、どのような経緯で演出を手掛けるようになったのでしょうか。 
 私がコロリドで働き始めた頃は少人数の現場だったこともあり、試験を受けて演出になる、といった明確なキャリアパスがない時期でした。企画が来たら誰かが演出を担当するしかないという状況で、自然と携わるようになりました。現場で感覚を身につけながら取り組んでいるうちに、気づけば10年以上関与しています。
―――キャリアパスのお話が出ましたが、一般的にはどのような流れで演出の仕事に就くイメージでしょうか。
 まずアニメーション制作における役割はさまざまですが、わかりやすく大まかに分類すると作画・演出・制作進行に集約されます。作画は実際にアニメーションの絵を描くセクションで、想像しやすいかと思います。演出は絵コンテを描いたり作品全体の変更、調整を行ったりといった役割を担う人たちです。制作進行はそうしたセクションを見渡しながらクオリティ管理などを行います。それを踏まえて、演出になるには大きく分けて二つのパターンがあります。一つは私のように、絵を描く仕事から入り、カット単位で捉えていたところから徐々にもっと大きな塊で映像を見るようになっていくパターンです。もう一つは、制作進行から入って、演出の仕事を徐々に学んでいくパターンですね。演出の下について絵コンテを描きながら、様々な雑務をこなす中で経験を積んでいきます。私の場合は作画からのキャリアでしたが、この二つがよくあるキャリアパスだと思います。最近では演出助手という新しい就職口も増えてきており、作画から演出助手を経て演出になる方もいるようです。
―――確かに最近の作品のエンドロールで、演出助手の肩書を見る機会が増えたような印象ですが、演出助手は演出の見習いといったイメージでよいのでしょうか。
 演出助手の役割は会社や作品によってかなり違います。資料や制作物のコピーをとる、あるいは車を運転して素材を集めるといった業務をまとめて演出助手と呼ぶスタジオもあれば、音響スタジオでの作業や納品までを業務範囲としているスタジオもあります。また、背景の原図を3Dソフトで作成するといった仕事を演出助手が担当していることもあるようで、一言に演出助手と言ってもその人がどんな経験を積んでいるかは単純には測れません。
―――その場その場にあった働きが求められているのですね。
 近年アニメーションの制作本数が爆発的に増えると同時に、求められる質もどんどん高くなってきているため、それに伴って生じる様々な対応を担う人材が必要とされているという背景があります。おそらく各スタジオとも、制作現場で今補えていない業務範囲を演出助手という形で補おうとしているのではないでしょうか。また質の観点では緻密な設定が作られる作品も増えており、設定管理の仕事なども重要度が増しています。
―――ありがとうございます。そんなアニメーション制作の中で、間﨑さんはどんなときにやりがいを感じますか。
 自分で描いた絵コンテや設定資料が最終的に映像として出力され、それがお客さんのもとに届くことにやりがいを感じます。出力されるまでの工程を大事にすることで、単に上手くできればいい、SNSなどでバズればいいという考えに囚われず、意味のある作品づくりを目指しています。特に漫画原作の作品が増えてきている中で、そうした作品に取り組む際は原作のビジュアルをアニメーションでどう表現するかを第一に考えながら制作しています。原作から大きくアレンジしてしまうとお客さんの期待からずれてしまうリスクもありますが、アニメにする以上はやはり映像という媒体の特性を活かし、原作とは少し違う角度から原作の魅力をより引き出すようアプローチできないかを模索しています。監督やディレクターの要望に応えつつ、自分なりの鮮度を出せるよう試行錯誤を続け、よい表現を産み出せた時も強くやりがいを感じます。
―――鮮度を出す、という表現がありましたが、何か意識されていることはありますか。
 仕事をするときには、まず何が求められているのかを考えることにこだわっています。知っていることだけでやり切らず、いつものルーティーンで終わらせず、お客さんのニーズを意識しながら、役に立つことを調べたり考えたりしながら向き合うようにしています。例えば人体の動きについて興味をもって深く調べると、ただ振り向くだけのシンプルな動作でも、少しずつ面白くなり、自分なりの表現に落とし込むことができるようになります。興味をもって様々なインプットに取り組むことが、結果的にいい仕事につながるということです。やはりアニメーションは人が作って人が見るものなので、同じことを意味もなく繰り返した表現や、惰性で積み上げた作品はすぐに見抜かれてしまうと考えています。ですので、常に思考する時間を設けたり、自分で演技してみたりすることが必要不可欠です。

 

*中編へ続く
 

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